ひと日

午前の陽射しに輝く浜辺と
午後の陽射しに色づく浜辺と
満ちては引く波のリズム
今日ひと日はそうして過ごし
ひたすら待ち続けたにも関わらず

ただ美しいということ
ただ心地よいこと
ただ両手に享けること
それでだけであること
そこに留まることができない

僕という証を指し示すものは
旋律のような言葉
何物かに向けられるのではない
それ自身が生きている―――
そのような言葉なのだ

目を閉じると
オレンジの闇が
遥かな宇宙から届いた光が
僕の中に飛び込んでくることが
ひたすら温かく感じられる

僕は呟く
「羽ばたくがいい。
あらゆる比喩を超え、
感情の衣を脱ぎ捨て、
飛翔するがいい。」

目を開くと
現れては消滅する
白金の十字架の光の上で
刷毛のような雲が
水平線に向かって導いていた

僕は今
思っている
もしかしたら
お前とともにのみ
僕は生きているのかもしれない、と

      (2011.6.21)



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