
Works
育て上げた彼女を見つめながら
生温かい陽光の
はるかな遠さ
空しさの
肌触り
いかに美しくとも
いかに愛らしくとも
蒸発した旋律にあわせ
目の前で舞う彼女の地平は
この私の地平ではない
ああ大気よ
この私を包んでいながら
お前の眼差しは
彼女に向けて閉ざされ
どこまでも私と交わらない
私は口づける
冷えきった彼女の唇に
風になびく髪を撫で
ほそい指に指をからませ
背中に額を押し付ける
ああ
哀しくなどあるものか
この素足を撫でてゆく波の泡
きらきらと輝く砂混じりの波
私はこの世界に留まろう
もし私が生を全うしたその時には
きっと
彼女が私の墓標に刻んでくれることだろう
「果てしの無い後ずさりであり
消え去ることを受け入れた者
そして私の生みの親 」と
(2009.3.17)