日記

お父さん
僕は少し疲れたのかもしれません

   多くの類似品が散らばっている満員電車から
   団子状の人々を書き分けて乗り降りするように
   僕は社会から抜け出した

   遊びであるだけの遊びはつまらない
   パンダが読書したり、キノコがスイカ抱えたり
   そんなことがありふれている

   さんざんおもちゃ扱いされて
   思い通りにならなくなれば
   今度は無関心の中に放り出される―――

   僕が多くを持ちすぎた、と言った友達がいた
   けれど僕は何も持ってなどいなかった
   むしろ、持つ必要がなかった―――すべて用意されていたから

   すべて用意されていたのに
   突然、もう何もない、と言われても
   いったいどうしようがあったろう

お父さん
僕は少し疲れたのかもしれません

   頭の中はぐるぐると回るだけで
   どこへ向かえばいいか皆目分からず
   ただじっとしてはならぬ、と命じられているだけで

   ‘死’がめらめらと燃えている
   僕を捉えて離さないというわけではないが、だからと言って
   他に僕の関心を引くものなど何があろう

お父さん
僕の最大限の復讐を

   (2008.4.12)



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