放浪
全てが均しく与えられることを
太陽と大気と、そして水はどうして
どのように実現してきたかを知ることは
深い畏怖に満ちた私の心を孤独に晒し
あらゆる営みを遠くへと、遥かに遠くへと流し去る
抑圧もなく
しかし開放もなく
氷の粒のような自由が
旗竿にくくり付けられたぼろ布のように
ただ、はためいている
空腹が心を鋭く磨き上げ
記憶よりも
現在―――目の前にある現在こそが
野獣のような美しさで
さまよう私を導く
川を渡り
夜を過ごし
岩だらけの峠を越え
昼を過ごし
朝と、そして夕に立ち止まる
私がこれまでに身につけてきたものは
全て、これから費やされるためだけにある
死へと続くこの旅こそ
ああ、生と呼ぶべき営みの中でも
最も瑞々しいものなのだから
(2005.8.9)