「椿姫」進行表(20081130)   語り師は演台についたまま。語り終えたら椅子に座る。
演奏場所 曲番または
練習番号
抜粋部分 タイトルまたはきっかけとなるセリフ ステージ 照明 下手 上手 語り オケ ソリスト 合唱 備品
No. V Alf Gio
            客電フル
天板フル
前明かりオフ
                 
    開演5分前 1ベル オケ入場         入場          
        板つき     板つき        
        チューニング 客電オフ
前明かりオン
語り・指揮者スタンバイ 合唱スタンバイ   チューニング       上手・花道S  
                           
        語り師登場   ソリストスタンバイ   登場 「待ってました!」の掛け声 下手S 下手S      
    (不思議だわ!のアリア直前)終止線までの最後の12小節 中、最初の4小節間。   語り師&オケによる寸劇                    
  オケ板つき、「待ってました!」などと言われながら、奈々福意気揚々と登場。指揮者の位置まで進んで、お辞儀をすると、オーケストラが鳴るので、びっくりし、喜び、ちょっと足を動かすと、オケが反応するので、その人に「グー」の印を送ってウインク。調子に乗って、ちょっとステップ踏んだりすると、オーケストラがぐちゃぐちゃになってズッコケ、反省して下手の演台のところまで走って戻る。            
        寸劇の後語り師演台へつく 語りスポットオン                  
    語り[0]   語り終わり→語りスポット消す                  
    ご来場賜りまして、篤く御礼申し上げます。浪曲師・玉川奈々福と申します、どうぞよろしくお願い申し上げます。いつもは、三味線とともに物語る私ですが、オーケストラとの競演とは、大変嬉しい。本日は「椿姫」。パリの高級娼婦・ヴィオレッタと、青年貴族アルフレードの純愛物語を、演奏に寄り添いつつ、みなさんにご案内いたします。本日は浪曲方式で、お客様にも、参加していただきたいと思っております。と申しますのは、浪曲は観客参加型の芸能。今日のオペラの良し悪しは、お客様が、この方々を、どうおだててのせるか次第なのでございます。「そらァいいが、参加って、どうするんだい?」御不審はごもっとも。その方法は、「掛け声」、です。いま、私が出てくるときにオケの方々が「待ってました!」。声をかけてくださいました。これ、大事です。「あ、待たれていたのか」。芸人はすぐ有頂天になって、いつもできないことができてしまう。ですから、これから指揮者の先生が出てこられるときに、ご来場のお客さま全員で、「待ってました!」とかけて、先生をヤル気にさせていただきたい。さらに! オペラに拍手はつきものでございます。昨今よく、ブラボーブラボーなんていう、間のびした掛け声がかかるものでございます。そんなのはニッポンの掛け声ではございません。日本の掛け声は、裂ぱくの気合。「日本一!」「大統領!」「中村屋!」……よろしいですか。ま、とにかく今日は拍手とともに、そういう掛け声でお願いしたい。一回お稽古してみましょうか。三、ハイ、「待ってました!」。すばらしい。さあ。指揮者の先生をこれからお招きします。いいですか。「待ってました!」もしくは「たっぷり!」「日本一!」「いい男!」なんでも結構です。掛け声と、万来の拍手でお迎えしていただきたい。私どもの指揮者、河地良智先生でございます!(入ってきた指揮者と、礼を交わす)            
        指揮者登場         「待ってました!」の掛け声          
    語り[1]   語り終わり→語りスポット消す                
さて、お話でございます。ときは一八五〇年八月。パリの夏は蒸し暑い。とある高級アパルトマンでは、今夜も華やかな宴が開かれいます。次々と客を迎え、花のごとき笑顔で応対する女主人・ヴィオレッタ・ヴァレリー。パリの社交界で彼女を知らぬものはない。吸い込まれそうな美しさ。若い身ながら近寄りがたいほどの誇り高さを感じさせるこの人は、パリの大金持ちをパトロンとする夜の花、いわば高級娼婦でありました。「ヴィオレッタ・ヴァレリーのパトロンである!」。それが、パリ社交界での一つのステータスとなるような、彼女はそんな立場の女でした。
連日連夜の宴。酒と遊びに明け暮れる日々は、ひそかにヴィオレッタの体を蝕んでおります。そんな彼女を、一年前から崇拝しているのが、プロヴァンスの青年貴族・アルフレード・ジェルモン。その夜の宴ではじめてヴィオレッタに紹介された彼は、憧れの人への熱い思いを詩に託して捧げるのでした。アルフレードのまぶしいまでの眼差しを感じつつ、ヴィオレッタは、人生は儚いものよと、軽くあしらうのでした。
演奏場所 曲番または
練習番号
抜粋部分 タイトルまたはきっかけとなるセリフ ステージ 照明 下手 上手 語り オケ ソリスト 合唱 備品
No. V Alf Gio
1幕 1 No.1   前奏曲(PRELUDIO)                      
2 No.2 冒頭5小節 + [4]〜[5]の4小節目の1拍目      上手・花道明るく              
冒頭4小節後
入場
グラス2つ(合唱団の執事役が持つ)
  E24[7]の2小節前の2拍目〜二重線 Si, attenti             入○ 入○      
  全部 乾杯の歌(BRINDISI) (Allegretto)             前奏部分でグラスを手渡す
  語り[2]   語りスポット
語り終わり→語りスポット消す
     
 
 
  退 グラスをソリストから受け取る
  宴もたけなわ、一同が舞踏のために広間へ移ろうとするせつな、ヴィオレッタが胸を押さえて倒れかけます。青ざめた顔を微笑みで繕って、お客たちを広間へ促すヴィオレッタ。ようやく苦しみが去って顔を上げると、そこには一人残ったアルフレードの顔がありました。こんな放埓な暮らしはいけない。私があなたを守りたい、多くの人に取り巻かれても、まことあなたを愛する人は、誰一人とていないではないか! 熱く語るアルフレードを、軽くいなそうとするヴィオレッタですが、真実を突かれて動揺します。そんな献身的な愛には応えられないと、そっけなく答える女は、しかし、胸に飾った椿を一輪、そっと抜いて男に渡します。「この花がしおれる頃に、またおいでなさい」  
2 (Band
Interna)
ワルツの67小節目(リピート分も小節数にカウント)〜二重線 ワルツ(Valzer - Duetto Nell' Introduzione)                  
11 [11]〜二重線 ある幸せな日(Andantino)           ○退     椿の花
  語り[3]   語りスポット
語り終わり→語りスポット消す
     
 
       
夜がしらじらと明けてゆく。お客が帰り、ひっそりと静まり返る部屋。乱れたテーブルに頬づえついて、一人たたずむヴィオレッタ。
「エストラーノ、不思議なこと! いつもと同じ宴のあと。なのに心がなぜ騒ぐ? 言い寄る男は星の数。抱かれた数さえ知れぬこの身が……まっすぐな眼差しに射抜かれるようだった。愛を信じたことなどなかったのに……愛を、信じる? 柄にもない! 自分がどういう女か、痛いほどわかっているくせに。私の命は長くない。なんの夢がもてるというの。ここは快楽の都、毎日、楽しいじゃないの。新しい話題、新しい遊び。日が昇ろうと沈もうと、私はいつも楽しくて、男たちの間を飛び回って、いつの間にか消えて忘れ去られていく。それを哀れと思うなら、勝手にそう思えばいい。私は、しょせんそんな女なのだから」
2 15 終止線までの最後の12小節 (次の曲の前奏として) 暁が再び目覚めた(最後のみ)                    
3 No.3 Scena ed Aria Violetta-Finale Atto.I 冒頭〜[16]の43小節目 + [17]の7小節前〜二重線 不思議だわ!(Recitativo)                  
  ああ、多分あの人なのよ
(ああ、そはかの人か)(Andantino)
                   
17- [17]〜[18]の7小節目
[20]〜終止線
馬鹿げているわ!くだらない妄想よ!
(花から花へ)(Allegro)
            ○退        
                               
演奏場所 曲番または
練習番号
抜粋部分 タイトルまたはきっかけとなるセリフ ステージ 照明 下手 上手 語り オケ ソリスト 合唱 備品
No. V Alf Gio
2幕1場   語り[4]   語りスポット
語り終わり→語りスポット消す
      下手S 下手S 下手S    
  それから五ヶ月が過ぎた頃。ここはパリ郊外、美しい森に囲まれた一軒家。年が明けたばかり、暖炉にはあかあかと薪が燃えている。パリの生活を捨てたヴィオレッタとアルフレードは、ここに愛の巣を営んでおりました。しかし、この暮らしはすべて、ヴィオレッタが財産を切り売りすることで成り立っております。いまだ親のすねかじりのアルフレードは、そのことに気付きもしません。幸せに溺れて有頂天になっている男が、ヴィオレッタにはまた、いとしくてたまらないのです。しかし、先行きの見えない暮らしに痺れを切らせたヴィオレッタの侍女は、女主人の留守中、アルフレードに実情をぶちまけます。恥かしさに身を震わせるアルフレード。なんとかしなければならないと、家を飛び出し、一路、パリへと向かってゆく! 語り後半
入○
4 No.4   僕の滾る精神を(Andante)               ○退      
  ・[5]のアウフタクトから2小節と1拍の間                        
  語り[5]   語りスポット
語り終わり→語りスポット消す
      語り後半
入○
  Vの入場後
入○
   
  パリへ向かったアルフレードと入れ違いに戻ったヴィオレッタの許に、息子のよからぬ噂を聞きつけたアルフレードの父親、ジョルジョが突然現れる。
「あなたに、お願いがあって、今日ここに来ました。あの子を愛しているのなら、どうか聞いていただきたい」
「なんでしょう?」
「私には、息子のほかにもう一人、穢れを知らぬ清らかな娘がおります。そのいとしい娘の将来のために、あなたをお訪ねしました」
「彼に、妹さんがいるのですね」
「そうです。その娘の縁談が、あやうくなっております」
「なぜです?」
「息子が、あなたのような女と一緒にいるからです」
「……私が妨げに。わかりました。では、しばらくの間離れておれば宜しいのですね?」
「しばらくでは困るのだ。完全に別れて貰いたい。永久に!」
「ジェルモンさん。私は身寄りのない女です。それに、もう長くは生きられない。その私の、たった一つの生きるよすがが、あの人なんです! どんなにあの人を愛しているか!」
「あなたと息子のこの縁は、誰からも祝福されない。天からも祝福されないものだ」
「祝福されなくてもいい、あの人がいてくれさえすれば!」
「アルフレードの妹が不幸になっても、いいとおっしゃるのですか」
「……」
「ヴィオレッタさん。この縁は、しょせん、無理なのです」
「私のような女には、短い夢を見ることさえ、許してはもらえないのですか……堕ちた女に、世間はこんなに冷たいのね。それでもと私が我をはれば、穢れを知らない娘さんが、愛を失い傷ついてしまう。その子の愛と、私の愛、秤にかけたらどっちが重いの? 先がないだけ、私が軽いの……馬鹿ね。思えば先のない私に、あの人を幸せにすることなど、できなかったんだわ……ジェルモンさん、約束しましょう。あなたの清らかな娘さんの、私は犠牲になりましょう」
「わかってくれましたか。ありがとう」
ヴィオレッタは、アルフレードに別れの手紙を書き、パリへ旅立ちます。手紙には、パトロンのもとに戻るという、偽りの心が綴られていました。
  [6]〜[9]の16小節目
[9]の後の二重線の13小節前〜二重線
天使のように清らかな娘を(Allegro Moderato)                  
ご存知ないのです(Vivacissimo)                  
いつの日か時間が                  
  お伝えください(Andantino)             ○退      
  語り[5-2]   語りスポット
語り終わり→語りスポット消す
         
 
   
  パリから戻ったアルフレードは、不実な言葉を連ねた手紙を目にし、裏切られたと思い込んで絶望します。そこに再び入ってきたのが、アルフレードの父親、ジェルモン。我を失い、狂ったように泣き叫ぶわが子を、「故郷プロヴァンスを想え、プロヴァンスに帰ろう」と、父親は腕に抱きとめるのでした。しかし、アルフレードは、心の嵐を抱えて、ヴィオレッタのあとを追い、パリへと向かったのでした。
8 Scena ed Aria Germont
15-
[15]から二重線 プロヴァンスの海と陸を     合唱スタンバイ         ○退 上手・花道S  
2幕2場 7 語り[6]   語りスポット
語り終わり→語りスポット消す
               
裏切られたと思い込んだアルフレードは逆上し、止める父親を振り切って、復讐の狂気を胸に、ヴィオレッタが来るはずの宴に姿を現します。酒の香りと女の嬌声に満ちた場で、荒んだ様子で賭けごとに熱中し、異常なまでに勝ち続けるアルフレード。そんな折しも、ヴィオレッタがパトロンの男爵とともに現れる。彼女はアルフレードの姿をみつけて狼狽します。そんなヴィオレッタを無視し、アルフレードは男爵に賭け事の勝負を挑み、大勝する。二人の男の間には殺気さえ漂い、ヴィオレッタは生きた心地もしません。
たまらずヴィオレッタはアルフレードに声をかけます。
「アルフレード、男爵は気性の荒い人なの、あなたを殺しかねない。お願い、すぐにこの場を離れて!」
「金づるが僕に殺されるのを心配しているのか。ああ、この場を離れろと言うのならそうしよう。一緒にあの家へ戻るのならば」
「それはだめ。私は、約束したのだから!」
「約束? 誰との約束だ? 男爵か? あの男を愛しているのか!」
「……ええ。そうよ!」
逆上した男は女の腕をつかみ、強引に広間へ引きずり出す。
「皆さん! この女をご存じですか? 私のために全財産を使い果たした女、私はこの女のひもでした! そうして暮らした恥ずべき借りを、私は賭けで勝ったこのあぶく銭で、帳消しにしてやる!」
握り締めた札束を、ヴィオレッタの顔に叩きつける! 場は一瞬にして凍りつく。愛人を侮辱された男爵は、アルフレードに決闘を申し込みます。
ヴィオレッタは、それでも、一言も、返さない……愛する人からの、かほどの侮辱を受けても貫き通した愛。その痛みの深さを、息子の後を追って現れた父親、ジェルモンだけが、知っているのでした。
SCENA XIII
27
[27]〜 ここに来るように伝えたけれど(Allegro Agitato)             入○        
28 [28]〜               入○      
29 [29]〜                 29番2小節前から
入○
 
30 [30]〜 財産の全てをこの女は(Allegro Sostenuto)              
 
30 last  札束
31 [31]〜 軽蔑がふさわしい(Velocissimo)             入○    
LARGO DEL FINALE 2. Largo del Finale II〜[34]の1小節目
 + [35]の3小節前〜[35]
 + [35]の4小節目〜終止線
アルフレードこの心に満ちている(Largo)              
        半暗転         退場 退場 退場 退場  
演奏場所 曲番または
練習番号
抜粋部分 タイトルまたはきっかけとなるセリフ ステージ 照明 下手 上手 語り オケ ソリスト 合唱 備品
No. V Alf Gio
      ソファ配置
チューニング
半暗転
作業終了後天板フル
    チューニング 下手袖
着替え
       
3幕   語り[7] 語りスポット
語り終わり→語りスポット消す
               
  それからひと月後。ヴィオレッタは身も心も疲れ果て、癒えかけた胸の病も重くなっています。二月のパリは、謝肉祭の華やかさ。しかし、ヴィオレッタの部屋の窓は暗く閉ざされ、冷え冷えとしています。もはや客をとることも出来ぬ身に残されたお金は、ごくわずかとなっていました。
  No.8 Scena ed Aria Violetta 全部 間奏曲(Andante)             下手S        
  語り[8]-1                    
  ヴィオレッタがそっと取り出したのは、一通の手紙。もう何度も読み返して、覚えてしまっている、アルフレードの父親からの手紙。                    
  語り:手紙朗読[8]-2  (Andantino)   貴女は約束を守られた
  語りスポット
語り終わり→語りスポット消す
               
「あなたは約束を守られた! アルフレードと男爵との決闘が行われ、男爵は怪我をされましたが、快方に向かわれています。アルフレードはいま、異国の地におります。私は真実を息子に打ち明けました。息子は、お許しを求めにあなたの許に戻ります。私も参ります。 ジョルジオ・ジェルモン」     語り後半
入○
      手紙
SCENA
 IV.
[1]〜[2] + 終止線まで16小節間 さようなら、過ぎ去った日の喜びの夢よ(Andante Mosso)            
       
  語り[9]       語りスポット
語り終わり→語りスポット消す
               
  すべてを諦め、重い病に臥せるヴィオレッタに残されていることは、神に許しを乞うことのみ。そんな折、彼女のもとに来客が。ああ謝肉祭のいたずらか、入ってきたのは、アルフレードとその父親だった。ヴィオレッタは喜びに震え、二人は、再び共に暮らそうと誓い合います。再会を感謝するために、教会へ出かけようと立ち上がるヴィオレッタ、しかし、崩れるように長いすの上に倒れてしまう。もう一度起き上がろうとする、立ちたい、出かけたい、生きたい……しかし彼女に、その力はもう残されていないのでした。それを見るジェルモンは、おのれの罪深さを思い知り、髪をかきむしります。
「アルフレード。ここに来て。私の絵姿を受け取って。これは私の美しかった頃の姿よ」
「いやだ。君と離れることなど、出来ない! こんなことが許されるわけがない!」
ふと、ヴィオレッタの頬に赤みがさす。ぐったりしていた体に力が漲り、ゆっくりと体をおこします。
「エストラーノ、不思議だわ! 痛みが消えてなくなった! 胸の嵐が過ぎ去って、あたたかさに満ちている。ああ、嬉しい、私は、生きることができる!」
喜びに身を震わせた、次の瞬間、ヴィオレッタの体から力が抜け、アルフレードの腕の中に崩れ、そのまま息を引き取った。
アルフレードとの再会は、今わの際のヴィオレッタの、夢だったのかも知れない。凍てつく部屋には、ヴィオレッタのなきがらが、ぽつんと残されておりました。
10 No.10 [4]の8小節前〜[6] 「奥様!」「何?」(Allegro Assai Vivo)             入○      
  [6]〜[6]の72小節目
 + [7]の8小節前〜[7]
愛しい人よ、パリから一緒に離れよう(Andante Mosso)                  
11 FINALE ULTINO
No.11
No.11の前の曲の最後の3小節間〜最後まで
ただし[16]の3小節目から4小節間カット
ヴィオレッタさん!(Allegro Assai Vivo)             入○    
受け取って、これは肖像画(Andante Sostenuto)                
  不思議だわ!(Andantino)                
        Fin
          カーテンコール            
      花束            
      「行け!黄金の翼にのって」 アンコール