水野けんいちの主張

『北朝鮮経済制裁法案とは何か』
            

            (2003年3月14日)

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太陽政策だけでいいのか

 「朝鮮民主主義人民共和国」という名称ほど実態と

かけ離れたものも珍しい。この国のどこに民主主義が

あり、どこが共和国なのだろうか。民主主義どころか

世界有数の個人独裁体制を敷き、共和国どころか

「金王朝」による恐怖政治が続いている。しかもこの

国は罪のない一般人を突然に拉致する犯罪国家で

あり、核武装に向かって邁進中でもある。

 こういう国が日本のすぐ近くに存在する。不気味な

隣国だというのが多くの人の実感だろう。そうはいって

も引っ越すというわけにもいかない。我々は否応なく

この国とつきあわざるをえないのである。そうである

以上、どのようにつきあうかを考えなければならない。

 日本政府は対話を強調している。朝鮮半島の問題

は対話を通じて平和的に解決を図るべきだと再三に

わたって言明している。もちろんこれは大切なことで

ある。だが気をつけなければならない点もある。対話

を重視するあまり北朝鮮への批判はなるべく避け、

刺激することはできる限り慎むというのでは困る。

金大中前韓国大統領の太陽政策にはそうした傾向

が見られた。北の問題点は見て見ぬふりをし、支援

だけは熱心だった。これでは北朝鮮側に「何をやって

もお咎めなしだ」と思われるだけであり、彼らの無法

行為を助長することになってしまう。

 現に太陽政策は限界を露呈している。韓国がいくら

太陽政策を取り続けても北朝鮮の姿勢に変化は見ら

れない。それどころか北朝鮮は節目節目で冷水を

浴びせるような行動をとってきた。昨年6月、韓国が

ワールドカップサッカーの三位決定戦に臨んだその日

に北朝鮮の警備艇の銃撃事件が発生し、韓国艇の

4人が死亡した。今年2月には金大中政権以上に北

に宥和的とされる盧武鉉氏が大統領に就任した。

ところが北側は地対艦ミサイルの発射実験をもって

これを迎えた。北朝鮮が1月にNPT(核拡散防止条約)

からの脱退を宣言したのは日米韓が対話を表明して

からわずか3日後である。要するに北朝鮮という国は

こちらが善意をもってのぞめば善意で応えるという国

ではない。相手の譲歩は弱みと見なし、さらなる譲歩


や支援を求めてくる国なのである。

 特に北朝鮮は最近、瀬戸際政策を加速化させている。

IAEA(国際原子力機関)査察官の追放、NPT脱退宣言

、原子炉の再稼働、ミサイル実験など挑発行為を矢継

ぎ早に繰り返している。こうした動きは今後さらに強ま

るかもしれない。その時には毅然とした姿勢が求めら

れる。北朝鮮が何をやっても黙認・容認するというわけ

にはいかない。対話の窓口を閉ざす必要はない。だが

厳しい態度を示すことも時には必要である。なにしろ

一筋縄ではいかない相手である。こうした相手に対して

太陽政策一辺倒では限界がある。こちらも硬軟織り

混ぜた対応が求められている。アメばかりではなくムチ

も準備すべきなのだ。

 

対北朝鮮外交カードを考える会

 ムチというのは何も軍事力だけを意味するわけではな

い。経済制裁という方法もある。カネやモノの流れを

制限することである。制裁というとかなり強い響きがあ

るが、実際にはそんなことはない。北朝鮮のミサイル

開発や原子力施設には日本からの資金や物品が使わ

れているという話がある。日本の物資で日本攻撃の

準備が進められているとすればこんなに馬鹿げたこと

はない。自分の首を縛るロープをわざわざ相手に与え

ているようなものである。こうしたことを防ぐために

北朝鮮への送金や輸出を規制するわけである。そう

考えれば日本の安全保障上むしろ常識的な措置とも

いえる。

 日本と北朝鮮の貿易額は02年で日本からの輸出が

166億円、輸入が287億円である。これは日本にとって

はそれほどたいした額ではない。総貿易額の0.1%に

も満たない数字である。だが北朝鮮からみれば日本と

の貿易は全貿易額の約2割を占めており、中国に次ぐ

二番目の貿易相手国でもある。それだけにここに制限

を加えることは痛手となる。つまり効果が期待できるの

である。

 ところが現行法では北朝鮮への経済制裁というのは

そう簡単には発動できない。例えば98年にテポドンが

三陸沖に撃ち込まれた時に不正輸出や不正送金の

温床とされる万景峰号の入港を阻止しようという声が

あがった。だが現在の港湾法などの規定ではこれは

難しいということで沙汰やみになっている。

 法律に不備があるのなら法律を変えるのが立法府の

一員たる国会議員の役目である。政府の動きが緩慢

ならば議員立法という手段もある。特に今回は法改正

の声を議会から出すことに意味があると思う。政府が

日朝交渉に当たる時に「国内には強硬な声もある」と

いうことを切り札の一つに使えるからである。

 そこで昨年12月に自民党の若手国会議員有志が

集まり「対北朝鮮外交カードを考える会」という会を結成

した。メンバーは山本一太(参議院・2期)、河野太郎

(衆議院・2期)、菅義偉(衆議院・2期)、増原義剛

(衆議院・1期)、小林温(参議院・1期)の各氏と私で

ある。この会では現行法の問題点を洗い出し、そして

あるべき法制度について検討を続けた。

 その結果、効果的な経済制裁を行なうには外為法を

改正する必要があるということで一致した。現行外為法

では日本独自の判断では制裁が発動できないからで

ある。一方、万景峰号のような疑惑船の入港を阻止す

る方法も研究した。いくら法律で送金や輸出を規制し

ても船が入港する以上、違法に持ち出される可能性が

ある。そこで入港禁止も必要になる。この点は新法の

制定で対応しようとの結論に達した。そこで会として

2月7日にこの二つの法律案を発表した。“外為法改正

案”と“特定外国船舶入港禁止法案(仮称)”の両案で

ある。前者は改正案の具体的な条文も作成済みである。

後者はまだ骨子の段階であり、今後党内の議論も踏ま

えて、より完全なものに仕上げていきたい。その上で

両法案ともに近日中に議員立法として国会に提出した

いと考えている。

 ただここで誤解のないように付け加えておきたいのは

この法律が成立すればすぐに北朝鮮に制裁が加わると

いうわけではない。確かにこの法案は北朝鮮の制裁に

道を開くものではある。つまり制裁をしようと思ったら

実行できるようになる。今までは制裁をしようと思っても

できなかったのだから大きな前進になると思う。だが

「できる」と「やる」は違う。「できる」けれども「やらない」

ということも当然ありえる。北朝鮮が拉致問題の解決や

核放棄に真剣に取り組むようになれば、あえて制裁措置

を発動することもない。

 いま必要なのは制裁を発動できる体制を整えておくと

いうことである。そうすることが交渉する上で日本側の

足場を強めると確信するからである。

 

現行法における経済制裁

 先に現行法は不十分ということを記したが、現在の

法律の下では経済制裁がまったく実施できないという

わけではない。事実、日本が経済制裁を発動した例は

多くある。では現状ではどのような仕組みで制裁が

行なわれるのかを見てみよう。

 経済制裁と一口にいっても実際には多様な手段が

ある。広い意味で経済制裁を定義すれば、交通や通信

の途絶も含まれる。国連憲章第41条は“非軍事的

強制措置”を掲げているが、これは「経済関係及び鉄道、

航海、航空、郵便、電信、無線通信その他の運輸通信

の手段の全部又は一部の中断」としている。だがここで

は特に送金と物品の流れについて見てみたい。北朝鮮

に関してはこの二つが焦点であり、日本のカネとモノこ

そが北朝鮮の生命線になっているいう人もいるくらいだ

からである。

 外国とのカネやモノの流れに関する法律は「外国為替

及び外国貿易法」、いわゆる外為法である。外為法は

第1条で対外取引は原則自由であり、例外的に必要

最小限の規制をかけることができると定めている。

もっと分かりやすくいえば、送金にせよ貿易にせよ普通

はどの国に対しても自由に行なうことができる。ただし

一定の場合にはある国との取引を許可・承認制に切り

変えられる。こうなると許可や承認を得ない限りは取引

はできないことになる。これが外為法における経済制裁

の仕組みである。経済制裁の発動とは、その国との取引

を許可・承認制にするということなのである。

 例えばイラクに対してはクウェートを侵略した90年以降

、現在に至るまで送金・支払、資本取引、役務取引を許

可制にして、輸出入を承認制にしている。これによって対

イラク貿易は89年の輸出677億円、輸入1674億円か

ら91年は輸出0.4億円、輸入0.3億円に激減した。

許可・承認制度というのは取引をまったく認めないという

ことではない。承認を受ければ輸出入は可能になる。

経済制裁下でも人道物資などは承認を受ければ輸出で

きる。逆にそれ以外のものは承認しなければいいわけで

ある。

 こうした経済制裁を発動したのは何もイラクに対してだ

けではない。古くは南アフリカ、イランなどに実施し、最近

ではユーゴスラビア、アンゴラ、シエラレオネなどにも

実施している。経済制裁というのは決して突飛な手段で

はなく、現実に何度も実行されていることなのである。

ただ北朝鮮に対してはこうした制裁は発動されていない。

送金も自由、貿易も自由のままというのが現状である。

 

外為法改正案(送金について)

 現行法でも経済制裁は可能なのだから北朝鮮にも

発動すればよいではないかと思う人もいるだろう。確か

にアンゴラやシエラレオネに制裁を加えていながら北朝鮮

には実施しないというのは釈然としない。ここに現行の

外為法の問題点が潜んでいる。そう簡単には発動でき

ないのだ。具体例として送金の場合をみてみよう。

 上で述べた通り対外取引は原則自由である。従って

通常は送金にも制限はない。もっとも届け出の義務は

ある。金融機関を通じた送金は500万円以上、外国に

行く時に持ち出す場合は100万円以上なら財務大臣に

届けなければならない。だがこれはあくまでも届け出で

ある。届けさえすればいいのであって、いくら送金しよう

と持ち出そうと自由である。

 送金の自由の例外を定めているのは外為法第16条で

ある。先に述べたイラクの場合はこの条項を根拠に送金

を許可制にしている。ところが北朝鮮の場合、現状では

許可制にするのは難しい。というのも第16条は許可制

を導入する条件を次のように規定している。「我が国が

締結した条約その他の国際約束を誠実に履行するため

必要があると認めるとき、又は国際平和のための国際

的な努力に我が国として寄与するため特に必要がある

と認めるとき」。やや抽象的な表現だが、前半は国連

安保理でどこかの国を制裁すると決まった時などは、

その国際約束を誠実に履行するために日本も制裁に

参加できることを意味している。後半は条約や安保理

決議のような法的拘束力のある取り決めはなくても

国際社会が平和の回復のために経済制裁に乗り出す

ときは日本もそれに加われるという意味だと解釈され

ている。要は国際社会が経済制裁を発動する時に初め

て日本も送金規制の措置がとれるわけである。裏を返せ

ば日本単独で送金規制の発動はなしえない。

 対イラクの場合には経済制裁の国連決議があったの

で日本がそれに加わることはまったく問題なかった。

だが北朝鮮には同様の国連決議はない。また現時点

では国際社会が北の制裁に乗り出そうとしているわけ

でもない。これでは条件を満たしているとはいえない。

現行法では送金規制はできないことになる。そこで

今回我々がつくった案ではここを改正し「我が国の平和

及び安全の維持のために特に必要があると認めるとき」

も送金規制を実施できるようにした。これによって国際

社会が制裁に踏み切る時はもちろんのこと、仮にそうで

なくても日本独自の判断で制裁が実行できるようにした

わけである。

 国際社会が動いて初めて日本も動けるという現行の

規定にも一理はある。日本単独で北朝鮮への送金を禁止

しても第三国経由で北に資金が流れる可能性があるか

らだ。国際社会が協調しない限り、いくら単独制裁を

実施したとしても抜け道を完全に塞ぐことはできない。

それでも単独発動には意味があると思う。北朝鮮の

行動は容認しないという強いメッセージは伝わるはず

だからである。

 

外為法改正案(輸出について)

 改正案では輸出に関する規定にも触れている。改正

の狙いは基本的に送金の場合と同じである。外為法で

はどこの国に何を輸出しようと原則自由である。そして

48条で例外を規定している。これまでの輸出規制は

この48条第3項によって発動されてきた。ここでは経済

産業大臣は「国際収支の均衡の維持並びに外国貿易

及び国民経済の健全な発展に必要な範囲内で」輸出

の承認制を導入できると定めている。これでは北朝鮮

に当てはめるのは難しい。北朝鮮への輸出を規制する

狙いは日本の安全を脅かすような物資をこの独裁国家

の手に渡さないためであり、国際収支の均衡の維持云々

のためではないからである。

 むしろ私にはこれまでイラクやアンゴラへの輸出規制

をこの条文で行なってきたことの方が驚きである。これ

らの国々への輸出規制も別に国際収支の均衡のために

行なったのではない。安全保障上の理由があって国連

安保理が決議したのである。政府側の論理によると

「イラクやアンゴラへの輸出規制は国連安保理で決議

されている」「この安保理決議を守らないと日本が

世界から孤立する」「そうすると国際収支の均衡や

外国貿易・国民経済の健全な発展を損なう」ということに

なるようだが、風が吹けば桶屋がもうかるような理屈で

あり、かなり強引な解釈と言わざるをえない。

 ともあれ制裁の根拠はもっとすっきりとした条文の方

が望ましい。我々の改正案では48条第1項に「我が国

又は国際社会の平和及び安全の維持を妨げる」場合に

は、ある国への輸出を許可制にできるとした。これで

あれば国連決議があれば当然発動は可能であるし、

北朝鮮のようにそれがなくても独自の判断で可能にな

る。

 

外為法改正案(その他)

 ここまで送金と輸出について重点的に見てきたが対外

取引にはその他多くの分野がある。資本取引、役務取

引、輸入などである。これらについても今回の外為法

改正案で取り上げている。いずれも日本独自の判断で

制裁を発動できるようにした点に特徴がある。

 なお外為法第9条は取引の非常停止について定めて

いる。対外取引を一定期間停止させるという非常手段措

置である。実はこれは世界的な通貨危機などの時に

マーケットを一時閉鎖することを念頭に置いたもので

あり、過去の発動例は3回ある。すべて1970年代

前半の変動相場制への移行期のことで、外国為替市場

の混乱を防ぐために東京外国為替市場を数日間閉鎖し

ている。我々の案ではこれを援用して、この第9条に

安全保障上の観点を加えた。必要がある時は首相の

命令で特定の国に対する取引を非常停止することが

できる条項を追加したのである。真に危急な時の伝家

の宝刀ともいうべき手段となる。

 

万景峰号の入港阻止を求める声

 北朝鮮への制裁論議の中で万景峰号の入港禁止は

避けられない課題である。万景峰号は日本と北朝鮮を

結ぶ唯一の貨客船である。両国を往来する貨物船は他

にもあるが、客を運ぶのはこれ一隻だけである。現在、

日本と北朝鮮の間には空路の往来はない。もともと定期

便は存在しない。かつてチャーター便が飛んでいた時も

あったが2001年以来途絶えている。つまり万景峰号

だけが客を乗せて両国間を往来する海空を通じて唯一

の便である。

 この北朝鮮船は1992年に進水したことから正式名を

「万景峰92」といい、全長126m、総トン数9672トンで

350名の乗客を運ぶ。定期船ではないが新潟港と

北朝鮮の間を年間30回近く往復し、昨年の例を見ると

日本に23回きている。うち21回が新潟港で、あとは

舞鶴港が2回である。

 この船の入港を禁止すべきだという声が強まってきて

いる。というのも多くの疑惑がささやかれているからで

ある。この船を使って北朝鮮に不正送金が行なわれた

という証言は多い。いわば北への現金輸送船だとも

いわれる。さらにミサイル開発に必要なハイテク機器の

輸送、工作員の送り込み、麻薬の密輸入など疑惑の

巣窟である。疑いだけではない。警視庁の調べによって

北朝鮮の工作員が万景峰の船内で対韓国工作の指令

を受けていたことが判明している。これこそ最大の不審

船であり、最大の工作船といえる。

 もちろん不審な人間が入国しないようにするために

入管があり、不審な荷物が積み込まれないために税関

がある。以前はともかく現在この審査はかなり厳しく

行なっているとされる。しかし船が入港する以上、規制

をすり抜ける動きはありえる。不正を元から絶つには

入港阻止しかないという声は根強い。また入港を阻止

すること自体が北に対しての強いメッセージになると

いう意見も強い。

 

現行法で入港は阻止できるか

 しかし船の入港そのものを阻止するというのは現行法

では難しい。港は関税法によって開港と不開港に分けら

れる。開港とは外国貿易のために開かれた港であり、

不開港はそうでないものをいう。ある港を開港にするか

どうかは政令で決められるが、ひとたび開港にした以上、

どの外国船にも開かれるのが大原則である。そして新潟

港も舞鶴港も開港なのである。

 強いて現行法で入港規制に関係する規定を探せば、

海上保安庁法第18条や港湾法第12条第1項などが

あげられる。これらも決して入港禁止を明確に定めてい

るというわけではない。海上保安庁法第18条には切迫

した危険がある場合には海上保安官が船舶を停止させ

たり、航路変更させたりすることができる旨が定められ

ている。だがこの法律が想定しているのは例えば海賊

行為がまさに行なわれようとしているとか危険物が爆発

しそうだというようなことであり、北朝鮮船舶の入港が

日本の安全を脅かす恐れがあるという理由では適用し

えない。

 港湾法第12条第1項5の1は港務局が船舶に対し

係留場所の指定などを通じて規制を加えることができる

としている。だがそもそも港湾法は港湾の秩序ある整備

と適正な運営のための法律である。安全保障上疑義の

ある船の入港を差し止めることはこの法の範疇を大きく

越える。また同法第13条第2項は「港務局は、何人に

対しても施設の利用その他港湾の管理運営に関し、

不平等な取扱をしてはならない」と定めているので

怪しい船というだけの理由で入港を禁ずることはます

ます難しくなる。

 つまり現行法の枠内では、不正の温床だからという

理由で北朝鮮船の入港を阻止することはできない。

現行法はこうしたスパイ船のような事態を想定していな

いのだから仕方がない。そこで「対北朝鮮外交カードを

考える会」では現行法の改正ではなく、まったくの新法

を提案することにした。それが「特定外国船舶入港禁止

法案(仮称)」である。

 

入港阻止法案と国際法

 新法を制定するにあたっては国際法上の観点からも

まったく瑕疵がないものにしたかった。海運国の日本に

とって海上の自由往来はきわめて重要である。各国が

恣意的に特定国の船の往来を制限するようなことは避け

なければならない。日本がその先鞭をつけたなどと言わ

れてはかえって自縄自縛になってしまう。その点、どの

国際法に照らしても問題のない新法が求められている。

 国際法上、入港阻止の法律を制定することは可能で

ある。領海については無害通航権が確立しているのに

対し、港は完全な主権管轄下にあるのでどの船を入れ

るか入れないかというのはその国の立法裁量の範囲内

だからである。

 ただそうはいっても「北朝鮮船は入れない」という狙い

撃ちの法律はなかなか難しい。一つには1926年に日本

も批准した「海港ノ国際制度ニ関スル条約及規程」との

関係である。かなり古い条約だがその一部を引用する。

「(各締約国は)他ノ各締約国ノ船舶ニ対シ、自国船舶

又ハ他ノ何レカノ国ノ船舶ニ許与スルト均等ナル待遇ヲ

許与スヘキコトヲ約ス」。北朝鮮の船だけ特別に入港拒否

するとなると、この条約に抵触する。北朝鮮はこの条約

に未加入なので厳密には法的な問題は生じないが、

疑義のあることはなるべく避けた方が良い。

 また「北朝鮮船は入港させない」と定めても実効性に

も欠ける恐れがある。船籍を変えられればおしまいであ

る。船舶の場合、便宜上リベリアやパナマ船籍に変える

ことがある。これは税金を逃れるためだが、今度は日本

に入港するために船籍を変える船が登場するかもしれな

い。

 結局のところ北朝鮮船だけを一律規制するよりも、面倒

なようだが一隻一隻に対して「この船は怪しいから」という

ことで入港を規制するしかない。特定国の船ではなく怪し

い船を入港させないということであれば国際法上の問題

もなくなる。似たようなことは最近、多国間の国際条約で

認められているくらいである。海上テロを防止するために

02年12月にSOLAS(海上人命安全)条約が改正さ

れ、一定の保安上の要件を満たさない船に対しては寄港

国は入港拒否などの措置を取れることになった。

 こうしたことを背景にして我々の会として「特定外国船

舶入港禁止法案(仮称)」を提案した。これはまだ具体的

な条文にはなっていない。現在は骨子の段階である。

この拙文の最後に資料として掲げておいたのでそちらを

参照していただきたいが、基本は次の通りである。日本

の港に入港しようとする外国船が拉致・監禁などに深く

関係したり、日本の平和と安全に危害を加える疑いの

ある場合には、まず海上保安官が立入検査・質問を

行なえる。外国船がこれを拒否した時、または検査の

結果、不正行為が明らかになれば入港を拒否できる。

そして必要ならば首相がその船の入港をその後しばら

く禁止することができるというものである。

 

結び

 以上、外為法改正案と特定外国船舶入港禁止法案に

ついて述べてきた。どちらの法律も北朝鮮という語はどこ

にも入っていない。北朝鮮を狙い撃ちしているわけでは

ない。ただ北朝鮮を念頭においていることは間違いない。

北朝鮮という異常な国家と相対するためにこそ、こうした

法整備が意味があると私は考えている。

 制裁について論議を始めると、必ずや“対話による解決

を目指すべきだ”という反論が聞こえてくるだろう。だが

経済制裁というのは対話による解決となんら矛盾しない。

そもそも経済制裁は軍事制裁ではない。むしろ軍事力を

使わないで紛争を解決しようという現代の智恵といえる。

いわば外交手段の一つである。日本も何度も発動して

いるのは前述の通りである。私も拉致・核開発といった

北朝鮮の引き起こした問題は対話によって平和的に解決

されることを望んでいる。金正日という身勝手な独裁者

のために多くの血が流されるのは耐え難いことである。

そのためにも厳しさと柔軟さを使い分けた高度な外交術

が求められている。

 もちろん制裁について我々の案以外にも良案はあると

思う。そもそも外為法に経済制裁規定を置くのが良いの

かという根本的な議論もありえるだろう。外為法というの

は元来為替管理のための法律であり、制裁条項までこれ

に盛り込むのは無理があるという意見もある。アメリカの

場合、対敵国通商法、国際緊急経済権限法といった制裁

のための法律を持っている。また法改正よりもまず

KEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)への資金拠出を

見直すべきだという意見もあるだろう。こうした問題も今後

大いに議論されるべきである。我々の議員立法案がこう

した論議の一石になれば幸いである。




参考資料

   外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案新旧対照条文               
   *改正のない条項も参考のため掲げた。

                                                     (傍線部分は改正部分)

 

 

 

 

         改   正   案          

          現      行          

 

 

 

 

目次

 第一章 総則(第一条―第九条の二

     (略)

 (目的)

第一条 この法律は、外国為替、外国貿易その他の対外取引が自由に行われることを基本とし、対外取引に対し必要最小限の管理又は調整を行うことにより、対外取引の正常な発展並びに我が国又は国際社会の平和及び安全の維持を期し、もつて国際収支の均衡及び通貨の安定を図るとともに我が国経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

 (取引等の非常停止)

第九条 (略)

2 (略)

                          







第九条の二 内閣総理大臣は、我が国の平和及び安全の維持を妨げる事態が生じ、又は生じるおそれがある場合において、我が国の安全保障上の観点から必要があると認めるときは、閣議の決定を経て、政令で定めるところにより、政令で定める期間内において、この法律の適用を受ける取引、行為又は支払等で政令で指定する地域に係るものの停止を命ずることができる。

 前条第二項の規定は、前項の規定により命ずる停止について準用する。



                           

 (支払等)

第十六条 主務大臣は、我が国が締結した条約その他の国際約束を誠実に履行するため必要があると認めるとき、国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため特に必要があると認めるとき、又は我が国の平和及び安全の維持のため特に必要があると認めるときは、当該支払等が、これらと同一の見地から許可又は承認を受ける義務を課した取引又は行為に係る支払等である場合を除き、政令で定めるところにより、本邦から外国へ向けた支払をしようとする居住者若しくは非居住者又は非居住者との間で支払等をしようとする居住者に対し、当該支払又は支払等について、許可を受ける義務を課することができる。

2〜5 (略)

 

 (財務大臣の許可を受ける義務を課する資本取引等)

第二十一条 財務大臣は、居住者又は非居住者による資本取引(第二十四条第一項に規定する特定資本取引に該当するものを除く。)が何らの制限なしに行われた場合には、我が国が締結した条約その他の国際約束を誠実に履行することを妨げ、国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与することを妨げることとなる事態を生じ、又は我が国の平和及び安全の維持を妨げることとなる事態を生じ、この法律の目的を達成することが困難になると認めるときは、政令で定めるところにより、当該資本取引を行おうとする居住者又は非居住者に対し、当該資本取引を行うことについて、許可を受ける義務を課することができる。                           

2〜6 (略)

 

 (対外直接投資)

第二十三条 (略)

2・3 (略)

















4 財務大臣は、前項の届出に係る対外直接投資が行われた場合には、次に掲げるいずれかの事態を生じ、この法律の目的を達成することが困難にあると認められるときに限り、当該対外直接投資の届出をした者に対し、政令で定めるところにより、当該対外直接投資の内容の変更又は中止を勧告することができる。ただし、当該変更又は中止を勧告することができる期間は、当該届出を受理した日から起算して二十日以内とする。

 一 (略)

 二 我が国若しくは国際社会の平和及び安全を損ない、又は公の秩序の維持を妨げることになること。

5〜 (略)

                           

 (経済産業大臣の許可を受ける義務を課する特定資本取引)

第二十四条 経済産業大臣は、居住者による特定資本取引(第二十条第二号に掲げる資本取引(同条第十二号の規定により同条第二号に準ずる取引として政令で定めるものを含む。)のうち、貨物を輸出し、又は輸入する者が貨物の輸出又は輸入に直接伴つてする取引又は行為として政令で定めるもの及び鉱業権、工業所有権その他これらに類する権利の移転又はこれらの権利の使用権の設定に係る取引又は行為として政令で定めるもの(短期の国際商業取引の決済のための資本取引として政令で定めるものを除く。)をいう。以下同じ。)が何らの制限なしに行われた場合には、我が国が締結した条約その他の国際約束を誠実に履行することを妨げ、国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与することを妨げることとなる事態を生じ、又は我が国の平和及び安全の維持を妨げることとなる事態を生じ、この法律の目的を達成することが困難になると認めるときは、政令で定めるところにより、当該特定資本取引を行おうとする居住者に対し、当該特定資本取引を行うことについて、許可を受ける義務を課することができる。


2・3 (略)

                            

 (役務取引等)

第二十五条 居住者は、非居住者との間で次に掲げる取引を行おうとするときは、政令で定めるところにより、当該取引について、経済産業大臣の許可を受けなければならない。

 一 我が国又は国際社会の平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるものとして政令で定める特定の種類の貨物の設計、製造又は使用に係る技術(以下「特定技術」という。)を特定の地域において提供することを目的とする取引

 二 我が国又は国際社会の平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるものとして政令で定める外国相互間の貨物の移動を伴う貨物の売買に関する取引

2・3 (略)

 

 

 

                            
4 主務大臣は、居住者が非居住者との間で行う役務取引(第一項第一号に規定する特定技術に係るもの及び第三十条第一項に規定する技術導入契約の締結等に該当するものを除く。)又は外国相互間の貨物の移動を伴う貨物の売買に関する取引(第一項第二号に規定するものを除く。)(以下「役務取引等」という。)が何らの制限なしに行われた場合には、我が国が締結した条約その他の国際約束を誠実に履行することを妨げ、国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与することを妨げることとなる事態を生じ、又は我が国の平和及び安全の維持を妨げることとなる事態を生じ、この法律の目的を達成することが困難になると認めるときは、政令で定めるところにより、当該役務取引等を行おうとする居住者に対し、当該役務取引等を行うことについて、許可を受ける義務を課することができる。

 

 (輸出の許可等)

第四十八条 我が国又は国際社会の平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるものとして政令で定める特定の地域を仕向地とする特定の種類の貨物の輸出をしようとする者は、政令で定めるところにより、経済産業大臣の許可を受けなければならない。

2・3 (略)













 (輸入の承認)

第五十二条 対外取引の正常な発展並びに我が国又は国際社会の平和及び安全の維持を期し、外国貿易及び国民経済の健全な発展を図るため、貨物を輸入しようとする者は、政令で定めるところにより、輸入の承認を受ける義務を課せられることがある。

第六十九条の四 (略)

2 外務大臣その他の関係行政機関の長は、我が国が締結した条約その他の国際約束を誠実に履行するため、国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため又は我が国の平和及び安全の維持のため特に必要があると認めるときは第一号から第三号までに掲げる規定の運用に関しそれぞれ第一号から第三号までに定める主務大臣に、我が国又は国際社会の平和及び安全の維持のため特に必要があると認めるときは第四号に掲げる規定の運用に関し同号に定める主務大臣に、意見を述べることができる。

 一 第十六条第一項又は第二十五条第四項 主務大臣

 二 第二十一条第一項 財務大臣

 三 第二十四条第一項 経済産業大臣

 四 第二十五条第一項若しくは第二項又は第四十八条第一項若しくは第二項 経済産業大臣

 

第七十条 次の各号の一に該当する者は、三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。ただし、当該違反行為の目的物の価格の三倍が百万円を超えるときは、罰金は、当該価格の三倍以下とする。

 一・二 (略)

 二の二 第九条の二第一項の規定に基づく命令の規定に違反して取引、行為又は支払等をした者

 三〜三十五 (略)

目次

 第一章 総則(第一条―第九条

     (略)

 (目的)

第一条 この法律は、外国為替、外国貿易その他の対外取引が自由に行われることを基本とし、対外取引に対し必要最小限の管理又は調整を行うことにより、対外取引の正常な発展を期し、もつて国際収支の均衡及び通貨の安定を図るとともに我が国経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

 
  (取引等の非常停止)

第九条 主務大臣は、国際経済の事情に急激な変化があつた場合において、緊急の必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、政令で定める期間内において、この法律の適用を受ける取引、行為又は支払等の停止を命ずることができる。

2 前項の規定により命ずる停止は、その停止の時までにこの法律により認められている支払を不可能とするものではなく、その停止による支払の遅延は、政令で定める期間内に限られるものとする。

                        

(新設)                     

                                                                                                                                                        

                         

 







 (支払等)

第十六条 主務大臣は、我が国が締結した条約その他の国際約束を誠実に履行するため必要があると認めるとき、又は国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため特に必要があると認めるときは、当該支払等が、これらと同一の見地から許可又は承認を受ける義務を課した取引又は行為に係る支払等である場合を除き、政令で定めるところにより、本邦から外国へ向けた支払をしようとする居住者若しくは非居住者又は非居住者との間で支払等をしようとする居住者に対し、当該支払又は支払等について、許可を受ける義務を課することができる。

 
 2〜5 (略)

                           

 (財務大臣の許可を受ける義務を課する資本取引等)

第二十一条 財務大臣は、居住者又は非居住者による資本取引(第二十四条第一項に規定する特定資本取引に該当するものを除く。)が何らの制限なしに行われた場合には、我が国が締結した条約その他の国際約束を誠実に履行することを妨げ、又は国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与することを妨げることとなる事態を生じ、この法律の目的を達成することが困難になると認めるときは、政令で定めるところにより、当該資本取引を行おうとする居住者又は非居住者に対し、当該資本取引を行うことについて、許可を受ける義務を課することができる。
                          

2〜6 (略)

                           

 (対外直接投資)

第二十三条 居住者は、対外直接投資のうち第四項各号に掲げるいずれかの事態を生じるおそれがあるものとして政令で定めるものを行おうとするときは、政令で定めるところにより、あらかじめ、当該対外直接投資の内容、実行の時期その他の政令で定める事項を財務大臣に届け出なければならない。

2 前項の「対外直接投資」とは、居住者による外国法令に基づいて設立された法人の発行に係る証券の取得若しくは当該法人に対する金銭の貸付けであつて当該法人との間に永続的な経済関係を樹立するために行われるものとして政令で定めるもの又は外国における支店、工場その他の事業所(以下「支店等」という。)の設置若しくは拡張に係る資金の支払をいう。

3 第一項の規定による届出をした居住者は、財務大臣により当該届出が受理された日から起算して二十日を経過する日までは、当該届出に係る対外直接投資を行つてはならない。ただし、財務大臣は、当該届出に係る対外直接投資の内容その他からみて特に支障がないと認めるときは、当該期間を短縮することができる。

4 財務大臣は、前項の届出に係る対外直接投資が行われた場合には、次に掲げるいずれかの事態を生じ、この法律の目的を達成することが困難にあると認められるときに限り、当該対外直接投資の届出をした者に対し、政令で定めるところにより、当該対外直接投資の内容の変更又は中止を勧告することができる。ただし、当該変更又は中止を勧告することができる期間は、当該届出を受理した日から起算して二十日以内とする。

 一 (略)

 二 国際的な平和及び安全を損ない、又は公の秩序の維持を妨げることになること。

5〜 (略)

 

 (経済産業大臣の許可を受ける義務を課する特定資本取引)

第二十四条 経済産業大臣は、居住者による特定資本取引(第二十条第二号に掲げる資本取引(同条第十二号の規定により同条第二号に準ずる取引として政令で定めるものを含む。)のうち、貨物を輸出し、又は輸入する者が貨物の輸出又は輸入に直接伴つてする取引又は行為として政令で定めるもの及び鉱業権、工業所有権その他これらに類する権利の移転又はこれらの権利の使用権の設定に係る取引又は行為として政令で定めるもの(短期の国際商業取引の決済のための資本取引として政令で定めるものを除く。)をいう。以下同じ。)が何らの制限なしに行われた場合には、我が国が締結した条約その他の国際約束を誠実に履行することを妨げ、又は国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与することを妨げることとなる事態を生じ、この法律の目的を達成することが困難になると認めるときは、政令で定めるところにより、当該特定資本取引を行おうとする居住者に対し、当該特定資本取引を行うことについて、許可を受ける義務を課することができる。



2・3 (略)

 

 (役務取引等)

第二十五条 居住者は、非居住者との間で次に掲げる取引を行おうとするときは、政令で定めるところにより、当該取引について、経済産業大臣の許可を受けなければならない。

 一 国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるものとして政令で定める特定の種類の貨物の設計、製造又は使用に係る技術(以下「特定技術」という。)を特定の地域において提供することを目的とする取引

 二 国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるものとして政令で定める外国相互間の貨物の移動を伴う貨物の売買に関する取引

2 経済産業大臣は、前項の規定の確実な実施を図るため必要があると認めるときは、非居住者との間で特定技術を同項第一号の特定の地域以外の地域において提供することを目的とする取引を行おうとする居住者に対し、政令で定めるところにより、許可を受ける義務を課することができる。                            

3 (略)


4 主務大臣は、居住者が非居住者との間で行う役務取引(第一項第一号に規定する特定技術に係るもの及び第三十条第一項に規定する技術導入契約の締結等に該当するものを除く。)又は外国相互間の貨物の移動を伴う貨物の売買に関する取引(第一項第二号に規定するものを除く。)(以下「役務取引等」という。)が何らの制限なしに行われた場合には、我が国が締結した条約その他の国際約束を誠実に履行することを妨げ、又は国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与することを妨げることとなる事態を生じ、この法律の目的を達成することが困難になると認めるときは、政令で定めるところにより、当該役務取引等を行おうとする居住者に対し、当該役務取引等を行うことについて、許可を受ける義務を課することができる。

 
                           

 (輸出の許可等)

第四十八条 国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるものとして政令で定める特定の地域を仕向地とする特定の種類の貨物の輸出をしようとする者は、政令で定めるところにより、経済産業大臣の許可を受けなければならない。

2 経済産業大臣は、前項の規定の確実な実施を図るため必要があると認めるときは、同項の特定の種類の貨物を同項の特定の地域以外の地域を仕向地として輸出しようとする者に対し、政令で定めるところにより、許可を受ける義務を課することができる。

3 経済産業大臣は、前二項に定める場合のほか、特定の種類の若しくは特定の地域を仕向地とする貨物を輸出しようとする者又は特定の取引により貨物を輸出しようとする者に対し、国際収支の均衡の維持並びに外国貿易及び国民経済の健全な発展に必要な範囲内で、政令で定めるところにより、承認を受ける義務を課することができる。



 (輸入の承認)

第五十二条 外国貿易及び国民経済の健全な発展を図るため、貨物を輸入しようとする者は、政令で定めるところにより、輸入の承認を受ける義務を課せられることがある。


第六十九条の四 (略)

2 外務大臣その他の関係行政機関の長は、我が国が締結した条約その他の国際約束を誠実に履行するため又は国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため特に必要があると認めるときは第一号から第三号までに掲げる規定の運用に関しそれぞれ第一号から第三号までに定める主務大臣に、国際的な平和及び安全の維持のため特に必要があると認めるときは第四号に掲げる規定の運用に関し同号に定める主務大臣に、意見を述べることができる。


一 第十六条第一項又は第二十五条第四項 主務大臣

二 第二十一条第一項 財務大臣

三 第二十四条第一項 経済産業大臣

四 第二十五条第一項若しくは第二項又は第四十八条第一項若しくは第二項 経済産業大臣

                           

第七十条 次の各号の一に該当する者は、三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。ただし、当該違反行為の目的物の価格の三倍が百万円を超えるときは、罰金は、当該価格の三倍以下とする。

  一・二 (略)

  (新設)                      
                         

 三〜三十五 (略)

 

 

 

 

 




特定外国船舶入港禁止法案(仮称)骨子(素案)

2003.2.5(水)

 

1 法の目的

  この法律は、特定侵害行為に関与した外国船舶の本邦の港への入港を禁止

すること等
を定めることにより、国民の生命及び身体の保護並びに我が国の

平和及び安全の確保を
図ることを目的とする。

 

2 特定侵害行為

  この法律において、「特定侵害行為」とは、次に掲げる行為をいう。

 @拉致、監禁その他国民の生命又は身体に対する重大な侵害行為

 Aスパイ行為その他我が国の平和及び安全を害する行為

 

3 入港禁止等

(1)海上保安官は、本邦の港に入港しようとする外国船舶が特定侵害行為に

関与してい
る疑いがあると認めるときは、当該外国船舶の進行を停止させて立

入検査又は質問を
することができる。

(2)海上保安官は、当該外国船舶が(1)の立入検査若しくは質問を拒否し

たとき、又
は(1)の立入検査又は質問の結果、当該外国船舶が特定侵害行

為に関与していると
認めるときは、入港を禁止し、又は我が国の領海外への

退去を命じることができる。

(3)海上保安庁長官は、海上保安官が(2)の措置をとったときは、速や

かに国土交通
大臣を経由して内閣総理大臣に報告しなければならない。

(4)内閣総理大臣は、国民の生命若しくは身体の保護又は我が国の平和及

び安全の確保
を図るため特に必要があると認めるときは、閣議の決定を経て、

期間を定めて、当該
外国船舶の入港を禁止することができる。

 

4 実効性確保

  入港禁止等の実効性を確保するための措置(罰則、武器使用など)につ

いて検討する。

 

5 関係法律との調整

  海上保安庁法その他関係法律との調整を行う。

 

6 施行期日

  この法律は、公布の日から起算して1月を超えない範囲内において政令

で定める日か
ら施行する。

 

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