1.はじめに
玄関前の小屋根を支える檜柱の下部に雨水が溜まり腐食してきた。腐食部分を削ってみると金属土台と結合している部分の傷みがひどい。部分修理にするか、柱そのものを交換するか検討してきた。現在まで使用していた柱は丸太の檜材で30年近く持ちこたえた。しかし、早晩何らかの修理が必要と判断した。

2.対策
ご近所の話では、柱を交換するのに基礎からやり直す必要があり、専門業者に依頼すると10万円はかかるであろうと脅かされた。いろいろ検討した。この柱は玄関前の小屋根を支えるだけで、二階部分の重量がこの柱にはかからない。つまり大きな荷重がこの柱にはかからないと判断した。
そこで、2009年8月に柱の基礎から柱本体の交換までDIYで、柱と土台をそっくり交換することに決めた。

3.材料選定
仮柱:杉角材(9x9cm)一本
今までの柱を交換するために一時柱を切り取るので、新たな柱を設置するまでの暫定的な補助柱。

本柱:屋外ウッドデッキ用角材(9x9cm)一本
柱の材質をいろいろ検討した。いままで使用していた檜材を使うか、他に耐候性、防腐性の強い材質がないか探した。屋外で使うウッドデッキ用の木材が最適と判断した。この木材は熱処理加工してあるので、腐りにくく、屋外での使用に最適らしい。価格は通常の木材よりかなり高価。

沓石:本柱土台
白御影沓石(高さ20cm)
柱の土台になる素材はいろいろある。いままでも金属製の土台は埋め込みになっているので、これを交換するとなると大仕事。そこで、埋め込み式ではない沓石を使うことにした。沓石はコンクリート製が安価で入手できるが、見栄えがしない。御影石の沓石は黒御影と白御影がある。黒御影は高級感があるが細かなキズが目立ちやすく扱いにくい。そこで表面の傷が目立ちにくい白御影の沓石を使うことにした。

  仮柱   本柱   沓石


4.作業工程

(1) 足場組み

作業そのものは単純で複雑な作業はない。単に柱を交換するのみ。しかし、問題は据え付けた柱が地震などでずれないように柱の上下をしっかり固定する必要がある。

そのために、小屋根の下柱を下から柱を組み込む溝を掘る作業がある。下から上向きに作業をするので足場が不安定であると怪我などの危険がある。第一、作業能率が悪い。

二本の三脚に板を二本並べ固定する。これで足場が完成。

(2) 加工

柱の上に3cm、下部に2.5cm角の切り込みを作る。小屋根、沓石の溝は3cm角である。 0.5cmの差は柱の据え付け時に小屋根を持ち上げることなく据え付けるためのアロワンスである。
柱の表面をサンドペーパーで磨き、しみ、キズなどを取り除く。そして、防水剤(ヘキサデシコール)を2度塗りし、ウエスで表面を磨く。

今までの金属基礎は根元から切断し、タイル面に合わせて研磨する。金属基礎は掘り出さず、穴にコンクリートを流し込み、据え付け時に沓石と接着するようにした。

5.据え付け
小屋根の下部に造った溝に木工ボンドをたっぷり塗り、柱の上部溝をはめ込み、沓石は少しずらして柱の下部の溝を沓石の溝に防水パテをたっぷり塗りはめ込む。沓石をずらしながら柱を垂直に立てる。成功! そこで補助柱を外す。

仕上げ
このままでも良いのだが、小屋根と柱の接合部分がなんとなく殺風景であったので、柱上部を覆うカバーを作り、これも内側に木工ボンドを十分塗り固定する。これにより、柱上部から雨水を侵入を防ぎ、柱と小屋根の固定にも貢献する。見栄えももっともらしくなった。

柱下部と沓石には防水パテがはみ出し、はみ出し部分は綺麗にふき取る。これで柱下部に雨水が溜まる可能性は低くなる。

6.完成
柱の上下とも以前に比べすっきりした。

柱を交換すると玄関先の雰囲気が変わる。構想から着工、完成まで数か月かかった。まずまずの出来栄えである。