お ま け




あれ・・・?そういえばあの手榴弾花火は?と思った方へ


  北京に帰る列車の中ではのんびりしていましたが、駅に着いてみると中には荷物を検査されている人がいるでは
ないか!!私はせっかく購入した2本の宝物が没収されてしまうのが心配で、1本をリュックの奥に、もう1本を懐に
いれ何とかこの検査を逃れ無事帰宅したのでした。
(暴発したら大怪我ものです。皆さんは真似しないでください・・・っていませんよね、そんな人)

  当時体育大学へ留学先を移していた私は帰宅すると同じ日本人留学生のN松さんとN津君を連れて夜11時頃
(だったかな?)この2本の手榴弾花火の威力を披露しにいったのです。もし見つかればこっぴどくしかられかねな
いという心配もありましたが、逃げれば何とかなるだろう・・・と思っての決行です。場所は体育館の脇道です。苦労し
て持ち帰ったこの手榴弾花火の威力を見よ!と私は二人の前で勢いよく導火線を引いた!そして投げた!

嘉翡「来るぞ!!」



逃げる準備をする。



「ボトッ」



遠くから聞こえる手榴弾花火のさえない落下音・・・。



嘉翡「さぁ、来るか!?」



しかし、いっこうに爆発する気配は無い。



嘉翡「不発かな・・・」



そう言って2本目の導火線を抜いて再度勢いよく投げる!
街灯に照らされながら夜空を音も立てずに放物線を描いて飛んでく手榴弾花火・・・
元野球部投手ということもあり飛距離は十分である。



「ボトッ」



再び遠くで手榴弾花火が落ちる鈍い音が聞こえた・・・そして再び沈黙・・・。



顔を見合わせる三人



嘉翡「すみません。不発だったみたいですね・・・寒いから帰りましょう」



そして



嘉翡「おかしいなぁ、買ったところでは結構派手に爆発してたんですけどね・・・」

なんて言いながらN松さんの部屋で酒盛りが始まる。



その夜、自分の部屋で何故手榴弾花火が炸裂しなかったかが引っかかっていた・・・。



記憶の中で甦る爆竹売りの姿



「そう、あのおっさんは確かに爆発させていたんだよ、あの手榴弾花火。花火を持って導火線を・・・・あっ!
導火線だろ?なんでをつけなかったんだ俺は!!そういえば爆竹売りが手榴弾花火を転がしたとき、
導火線にはがついていたじゃないか!!!」


そうです、不発弾として忘れておけばいいものを、根幹部分の記憶が甦ってしまったのです。
私はその形状ばかりに目がいっててっきり本物の手榴弾みたいにあの紐を引っ張れば爆発すると思い込んでいた
のです。プロジェクトAのように・・・。



「うおぉぉぉ、なんてこったぁぁぁ、はずかしぃぃぃ」



まさに赤面ものである。私が一晩中布団の中で悶え苦しんだことは言うまでも無い(苦笑)



翌日、N松さんの部屋を訪れた私はN松さんに話しかける。

嘉翡「昨夜の手榴弾花火・・・もしかしたら導火線に火をつけるものだったかもしれません。」

N松さん「やっぱりそうだよね。おれもそう思ってたんだよ」

嘉翡「え?気づいてたんですか?なら一声かけてくださいよ!」


N松さん「いや、一本目が爆発しないから、たぶん火をつけるんじゃないかなぁ・・・
と俺も思ったんだけど嘉翡が随分自信もって投げるから何も言わなかったんだけど・・・
 やっぱりそうだよね(大笑)」



嘉翡「・・・・かぁ〜恥ずかしい。めちゃ馬鹿じゃないですか、俺!!」







こうして私は春節初日から自分の馬鹿っぷりを披露して新年の幕を開けたのでした。






終了