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時は1995年1月・・・私は北京語言文化大学で留学していた92年以来の友人・Sジイと当時中国で放送していた 歴史巨編(大河ドラマ)三国演義を見ていた。三国迷(ファン)である私とSジイはよくこのドラマについて々話してい たわけだ。そして・・・
Sジイ「三国志関連の史跡を見に行きて〜なぁ」
嘉飛「じゃ、行きましょうよ!」
という話となり私の持っていた歴史群像シリーズ(以後略歴群)の三国志版4冊を読みながら相談したのでした。
そうして決まったのが北京で最も近場にあった史跡・三義廟だ!場所は北京の南・タク州で、かの劉備が関羽、 張飛と共に天下泰平と漢王室復活を目標に旗揚げした場所である。歴群によると唐の時代に作られたが文革で
破壊されてしまった「三義廟跡」があるという話であった。他にも張飛が肉屋を営み、その肉を吊るしたという
「張飛古井」なんかがあるらしい。
出発は1月30日、95年春節の前日であった。北京南站から出発したSジイと私は無座票(席無し切符)でタク州 に向かったのでした。春節の前日ともあって混んでいるかと思いきやそれほど混んではいませんでした。席には座 れませんでしたけど・・・。約一時間ほどで着いたでしょうか・・・北京市郊外の小都市ということもあり寂れた駅ではあ りました。整備されていない駅前の道では三輪タクシーの運転手ががこちらを伺っている。どうだったか・・・もう9年 前の出来事だからはっきりしない。日記にもどうやってタク州市内に入りホテルに行ったかは記録していないのでな んともいえないが一度繁華街まで出て後、三輪タクシーでホテルに入った記憶がある。
タク州は劉備、張飛の出身地であり、かの桃園の誓いがあった場所!
天下第一州とは地元の人民の誇りの表れなのだ!!
春節の前日ともあり日のあるうちはまだ賑やかだったが日が暮れるとみな自宅で年越しを祝うため
寂しくなりました。
一晩お世話になった桃園ホテル(飯店だったか賓館だったかは忘れた・・・)
歴群にも紹介されていた場所。ここではホテルも劉、関、張三人が主役です。
春節前日とあって街中は夕方までは賑やかであったけども夜になるとしんみりしてしまい、食事を取ろうにもそこら じゅうのレストランが店を閉めてしまいなかなか食事が取れなかった。ようやく探した店でもすでに店員がテレビを見 ながら自分達がのんびりくつろいでサービスもおろそかにする始末でした。注文した料理もあれはダメ、これもダメで 結局餃子以外はそのほとんどが店側が決めたものばかりでした。要するに残り物だったわけです(笑)。
タク州のあちらこちらでは春節の節目となる夜中の12時に向けて花火や爆竹が売られている。日本の爆竹よりも 倍以上大きい爆竹だけあって音も威力もすごい。まぁ、当時北京ほか大都市の市内では爆竹禁止令が出ていまし たが・・・地方では毎年死人やケガ人が出るほど規制が緩かった。バババババ・・・・と鳴り続ける爆竹音に混じって 時折ものすごい音が聞こえてくる。単発でかなりの音だ!興味をそそられたSジイと私は爆竹売りのおじさんを見て いると・・・なんと手榴弾形の花火?爆竹?があるではないか。(下図参考)
こんなの↓

これはもう花火も爆竹も十分通り過ぎている代物でしょう!もう笑うしか無いですよ!!ジャッキー・チェンのプロ ジェクトAで出てきたのと同じ形ですよ!牙大王の腕を吹っ飛ばしたヤツですよ!!。大きさだって僕の拳二つ分
(20cmくらい)もあるんです・・・。日本だったら完全に捕まりますよ。どう見ても兵器ですもの。その破壊力は驚きで す。手に握ったままだったら確実に手指は吹っ飛びそうです。毎年、新年を迎えるたびに死傷者が出るというのもう なずけます。その威力と形状に一目惚れの私はその場で2本購入しました。1本14,5元位した記憶がある。
爆竹(?)1本でこの値段とは、当時としてはかなり高いでしょう?(手榴弾と考えれば安いでしょうが・・・)ぼられた可 能性もありますが、私は大して気にしませんでした。何故って?もっと大きな問題が控えていたからです。それは北 京市内への持込です。当時の北京は春節であろうと爆竹花火禁止令が出され、その代わりに赤い風船を破裂さ せその音で楽しもう・・・という状態だったのです。なんとも味気ない話ではありますが本当の話です。実際、市内で爆 竹をやって補導された学生の話を後日耳にしましたから・・・。
さて・・・部屋に帰ると二人で翌日の史跡めぐりをどう進めるか話し合います・・・といっても何が何処にあり、
どう行けばいいのなんてわかりません。「楽しみだなぁ、上手く行けるかなぁ」程度の話し合いでした。
夜型の私と違い昼型のSジイは10時を過ぎると眠りに入ってしまい、私は1人テレビの音を小さく絞って起きている と12時少し前あたりから外で鳴らされる爆竹と花火の音が激しくなりました。初めて中国で春節を過ごす私としては 驚きと喜びでいっぱいです。
「バリバリバリ・・・・バババババ・・・・・ヒューヒュー・・・バァーン・・・・」
はっきり言ってテレビの中の湾岸戦争を思い出しました。当時の日記にもそう書いてあります。
思い出す対象が、この度のアフガニスタンやイラク攻撃でない所が過ぎた時間を感じます。
しかし、何を思ったかSジイが突然ベッドの中で怒り出します。
Sジイ「嘉飛うるせえよ、静かにしろよ・・・」
嘉飛「・・・ぼ、僕じゃありませんって、人民の花火ですから」
Sジイ「ったく何とかしてこいよ。うるせえなぁ・・・」
いつもニコニコして人畜無害なSジイは睡眠を邪魔されるのが一番ムカつくそうで、寝ぼけた状態で私に当たってい たようでした。翌朝覚えてなかったし・・・。
そして
花火は1時間ほどすると段々と小さくなり、その頃には私も就寝していたのでした。
後 編
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