まえがき            

               平成29年10月20日 長男 

 太平洋戦争勃発一年後の昭和17年(1942年)、軍の要請で国際電気通信株式会社の無線通信技師だった当時30歳の父は、25歳の母と3才の自分、1歳に未たない弟や年老いた祖父を残して南方・インドネシアに赴任した。

  幾多の苦難に耐えた末に昭和21年(1946年)に何とか無事に帰国して以来平成4年(1992年)に没するまで、寸暇を惜しむようにその当時のインドネシアの島や人々の様子と様々な体験記録を、趣味だった漫画を挿しこんで書き綴っていたのがこの「南方の記録」である。

  一民間人の会社員が無線技士故に軍に徴用され、何時潜水艦に沈められるかと怯えながらの長い航海の末、危険な最前線に赴かねばならい過酷な時代だったのだが、生来、好奇心と義侠心が旺盛だったこともあり、内心は別として滅多に弱音をはくこと無く懸命に面白く生きようとしていた父の一面が良く表れているように思う。

  世の中から戦争の記憶が次第に薄れつつある中、親父が書き残した記録も自分が亡くなればゴミとして処分されるのが目に見える。

 そこで何とか後世に残すためにも電子化しておこう!・と思い、今回PDF化してホームページに掲載した次第である。

 

           

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