音楽論
衰えゆく指
今日は実に暇な一日でして、いや、だったら勉強するべきだったんですが、
なんだかそんな気にもなれず、ただひたすらいろんな曲を聴いていました。
始めのうちはMIDIを聴いていたのですが、だんだん飽きてきて
久しぶりにCDを聴いてみることにしました(実は、私は滅多にCDは聴きません)。
まずは元々プレイヤーの中に入っていたホワイトベリーの「夏祭り」、
次いで棚から適当に取り出した倉木麻衣の「Secret
Of My Heart」、
そして一昨日カラオケにいった時にその場のノリで歌ってしまった
林原めぐみの「サクラサク」(ちなみに一緒にいた方はさすがに多少引いてしまわれた模様)、
さあ、次は何を聴こうかと棚を覗く私の目に、こんな文字が飛び込んできました。
「展覧会の、エッ?」
ああ、懐かしい。そういえばこんなCDも持ってたなぁ……。
ええ、ご存知の方はおそらく少数派かと思われます。
私の特に敬愛する3人のピアニストの一人、ピアニスターHiroshiさんのCDです。
特に敬愛しているわりにはCDの存在をすっかり忘れていたわけですが、
前述の通り私は滅多にCDを聴きませんので、自分がどんなCDを持っているかなんて
すっかり記憶の外です。
で、このCDなんですが、いわゆる「まともな曲」は一曲たりとてありません。
例えば、「ゲゲゲのカンパネラ」。
リストの「ラ・カンパネラ」が始まるかと思いきや、「ラ・カンパネラ」をベースに
「ゲゲゲの鬼太郎」のメロディーが始まります。
他にも「軍隊ポロネーズ」をベースにビートルズの「Yesterday」が
始まったり(ちなみに「昨日ポロネーズ」と言います)、
聴いているうちにだんだん「自分もピアノで遊んでみようかな」という気持ちになってきます。
で、やっと今日の本題に入ります。
そうです、今日、実に1年数ヶ月ぶりにピアノを弾いてみたんです。
とりあえず、指動かなすぎ!
簡単な曲くらいならゆっくり弾けば何とでもなるだろうと思い、
試しにかの有名な「トルコ行進曲」を弾いてみたんですが、
指が鍵盤の幅を覚えていないんですね。
隣の鍵盤を押さえたつもりがさらに隣の鍵盤まで一緒に押さえてしまったり、
1オクターブ上の音を弾いたつもりが実はその隣の音だったり、
イチイチ鍵盤を見ていないと正確に鍵盤を押さえられなくなってしまっています。
そして、鍵盤の一個所に注意を取られているとまた別の所で間違えてしまうという悪循環。
さらに腕の脱力がなっていないらしく、弾いているうちに腕の筋肉が張ってきてしまいます。
とにかく、もう目も当てられません。
まあ、そもそもいくら簡単だからって一度もまともに練習したことがない曲を
1年数ヶ月ぶりにピアノを弾く人間が指慣らしに弾いてみようというのが
根本的にかなり間違っているのですが、
「自分は弾けるはず」と思い込んでいる人間が
冷静になってそのことに気付くのは結構後のことでありました。
だいたい「1年数ヶ月ぶり」といっても、1年数ヶ月前にピアノを弾いていた時でさえ、
それが3年ぶりくらいだったりしますし、またその時でさえYAMAHAをやめてから
既に3〜4年は経っているのですから、それはもう私の指の衰えようと言ったら
筆舌に尽くし難いものがあります。
これからも私が本格的にピアノの練習をしようとすることはまずないでしょうし、
あったとしても年齢的に中学生時代の指を取り戻すことはまず無理でしょう。
となるとこれからも私の指はどんどん衰えていき、
終いには子供の頃に10年間ピアノを習っていたことなど
なかったことになってしまうのでしょう(もっとも、当時それほどうまかったわけでもないのですが)。
「継続は力なり」……言うのは簡単ですが、実際に行うのは難しいものです。
しかし、一度身につけた技術が腐っていくのは本当に悔しいもの。
「後悔先に立たず」……今の心境はこんな感じでしょうか。
余談ではありますが、残された私の自尊心が「トルコ行進曲」を「簡単だ」と言い張っております。
が、それすら時間が経てばなくなっていくのでしょう……。
なんとも悲しいものですね。