音楽論

GSとXG

 

この度掲示板で「GSとXGって何?」というご質問を受けました。
そこで、私なりにこの質問にお答えしてみようと思います。
ただ、まず始めにお断りしておきますが、当方生っ粋の文系学生です
従って、専門的・技術的な詳しいことまではお話することができません。
ここでお話するのは、「だいたいこんな感じだと思っておけば誤解はないんじゃないかな」
といった程度のことです。
技術的な裏付けがほしい方、もっと専門的な知識がほしい方は、
お手数ですがご自分で勉強なさってください

さて、それでは本題に入ります。
そもそもMIDIとは何なのでしょうか。
YAMAHAのMU2000の説明書には、以下のように書いてあります。

>MIDIは、Musical Instrument Digital Interfaceの頭文字を取ったもので、楽器同士を接続して
>演奏情報や音色情報などをやり取りするために作られた世界統一の規格です。
>世界統一規格ですから、メーカーや機種が違っても、データをやり取りすることができます。

・・・・・・何のことやらわかったようなわからないような。
どうやら世界統一規格らしいということはわかります。
では、XGやらGSやらというのは一体何なのでしょうか。

ちょっといい例えが見つからなかったのですが、日本語を例にとってみます。
我々日本人が使用する言語は、言うまでもなく日本語です。
標準的な日本語、つまりは標準語をしゃべっていれば、北は北海道から南は沖縄まで、
基本的には言葉は通じるはずです。
しかし、基本的には同じ日本語であるとはいえ、地方地方で方言というものがあります。
北海道に住む人が、北海道の方言で沖縄の人と会話をした場合、
やはり完全には、あるいはすぐには、言いたいことが相手に伝わらないでしょう。

MIDIに話を戻しますと、MIDIというのは「日本語」で、
GSというのはRolandが提唱する「方言」、XGはYAMAHAが提唱する「方言」なのです。
MIDIは世界統一の規格ですから、基本的なMIDIデータであれば、
GS音源でもXG音源でも差し支えなく再生することができます。
しかし、GSとXGでは同じ音色情報でも受け取られ方が違ったり、
または、例えば同じ「St.Strings」という音色を出そうとしてもそのために送信するべき
音色情報が異なっていたり、XGにはあるエフェクトがGSにはなかったり、
GSにはある音色がXGにはなかったり等々、様々な食い違いがあるのです。
ですから、GS音源用に作ったMIDIデータをXG音源で再生しようとすると、
とんでもないことになったりすることもあるわけです。

ちなみに、私のような素人が趣味で使うような音源の中では、
Rolandの「SC−88」シリーズ(GS音源)が最もポピュラーな音源のようです。
ついでYAMAHAの「MU」シリーズ(XG音源)がメジャーでしょうか。
GSとXG以外にも色々な規格があるのかもしれませんが、
今のところ私は詳しいことは知りません。

 

ここからは余談になりますが、私はRolandのSC−88ProとYAMAHAのMU2000の
二つの音源を持っています。
実はYAMAHAのMU50という音源も持っているのですが、あまりに古いため論外ということで。
さて、SC−88Proが発売されたのは、確か今からおよそ6年前、1996年のことだったと思います。
対して、MU2000が発売されたのは今から2年前、2000年のことです。
昨今の電子機器の性能のインフレ状況を考えれば、この約4年という発売時期の差は
決定的な性能の差として顕れていると思われてもおかしくはありません。
確かに総パート数や同時発音数については、SC−88Proが32パート、同時発音数64なのに対し、
MU2000は64パート、同時発音数128とまさに倍ですし、インサーションエフェクトの数も
MU2000の方が上です。ごく基本的かつ単純な性能を比べれば、圧倒的にMU2000の方が
優れているといえます(MU2000とほぼ同時期にRolandが出したSC−8850と
MU2000とを比べれば、両者の性能はほぼ互角といえると思います)。
しかし、やはりGSとXG、言い換えればRolandとYAMAHAでは得意とする分野が違うのでしょうか、
一つ一つの音色を比べてもやはり全てMU2000の方がいい音かといえば、実はそうでもないのです。
巷ではよく「生音はYAMAHA、シンセはRoland」と言われているようですが、
私はこの説にはあまり賛成できません。
この辺は個人個人で好き嫌いが分かれるところだとは思いますし、
私自身、MU2000はまだ買ってから間もなく、音色を知り尽くしたわけではないのですが、
それでも今まで感じた限りで話してみますと、
例えば弦楽器。
ヴァイオリンやビオラなど、単一の楽器の音でしたら確かにMU2000の方が
いい音だとは思いますが、オーケストラのストリングスアンサンブルの音となると、
MU2000もあまりいい音を出すとは思えません。
少なくとも私はSC−88ProのSt.Strings(88Map)の方がそれっぽい音が出ていいと思います。
管楽器にしても、確かにSC−88Proのトランペットやトロンボーン等の音は
はっきり言ってダメダメです。ですが、「Brass Section」の音となると、
MU2000の音はいささかきつすぎると思います。
逆に電子音といっても、電子ピアノの音はやはりMU2000の方がいいと思います。
まあこの辺は「4年間の差」のせいもあるかもしれませんが。
というわけで私としては「生音はYAMAHA、シンセはRoland」に加え、
「ソロ楽器ならYAMAHA、アンサンブルならRoland」という見方も持っておくといいと思います。

以上、余談でした。

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