leview of gretsch snare -グレッチスネアレビュー-
さて、久しぶりの更新です。
今回は今更ながらGretschのスネアのレビューをしたいと思います。
これは以前オークションで落としたもので、70年代のものです。
現行品とは違った音、適当な造りなど、ビンテージならではの味わいがあると思います。
というわけで、自分なりの解釈でレビューしたいと思います。

1.外観及びスペック(スペックは推測)

正面から 後ろから
内部のシール

・モデル:4105、serial 117691
・年代:1970年代
・シェル:メイプル6ply、ホワイトマリンパール
・サイズ:1
4×5.5インチ
・フープ:Gretsch ダイキャストフープ
・ラグ:6ラグ
・スナッピー:Gretsch Responso

とても30年以上前の物とは思えないほど綺麗です。フープやラグにもピッツはほとんど無く、カバリングの浮きやはがれも見当たりません。ミュートやストレイナーも非常にスムーズ。また、スナッピーからヘッドまで全てオリジナルであることから、前のオーナーはあんまり使ってなかったと思われます。いや、多分倉庫に放置されていたんですね、これ。ちょっと最初カビ臭かったから。でもホント綺麗です。

また、特徴的なのがスネアベッド。通常スネアベッドはスナッピーの食いつきを良くする為に彫られているのですが、現行品と比べて明らかなのはその深さ。多分3mm近くはあるんじゃないでしょうか。加えてスネアのエッジの削り方もとても雑。30年前の職人、てきとうすぎ。

スネアのスナッピー付近のエッジです。くぼんでる部分がスネアベッドです。(見えますかね?)
エッジは毛羽立っていて結構荒い作り。
また、シェルの内側はお馴染みの銀色の塗装。一説によると、これはアルミのコーティングでシェル剛性を特徴づけているものらしいです。
スネアベッド  

ストレイナーはとてもスムーズ。紐を通す穴がたくさん開いているタイプのもの。この穴に昔はギターなどの弦を通してスナッピー代わりにしていたらしい。作り自体は非常にシンプル。30年以上経ってもほとんどデザインは変わってないんですな。

ストレイナー

バッチは70〜79年に使われていたスクエアバッチ。一般的には70年代以前に使われてたラウンドバッチのスネアはとても希少価値が高いと言われています。ということは70年代のスネアはあまり希少価値がないんでしょうか。
うーん、あると信じたい。

「GRETSCH」のロゴの下に、70年代に採用されていた、「THAT GREAT GRETSCH SOUND」の文字が。
70's スクエアバッチ

2.サウンド

Gretschのスネアというのは、よくGretschにしか出せない音がすると言われています。おそらく6プライというシェルの厚さと、ダイキャストフープによる影響が大きいのではないかと考えています。
具体的には、カツン、コンなどといった硬質な音でバンドの中でも埋もれない音だと言われています。また、Ludwigが横に広がるオープンな音であるのに対し、Gretschは縦に抜ける音だと言われています。これはsonorなどと似たキャラクターであると言えると思いますが、sonorともちょっと違う感じですね。
それでは細かいところは以下に。

・チューニング
チューニングはハイピッチにしています。イメージ的に、Gretschはローピッチよりもハイピッチが似合うというイメージがあったんで。で、実際もやはりハイピッチのほうが抜けて明るい音がするように感じました。チューニングレンジはなかなか広いんじゃないかと思います。ただ、ハイピッチにしすぎると音が詰まるんで、詰まるか詰まらないかのギリギリのラインを狙うようにしています。難しい…。
あと、チューニングの際に気になるのが、スネアベッドの深さ。裏のヘッドを締めていくと、スネアベッドのところだけかなりしわがよってしまいます。あれだけスネアベッドが深いと、その周辺だけテンションが均等にかからないのも納得できます。スナッピーの食いつきを良くする為とはいえ、これではチューニングに支障が出るのでは?とちょっと心配。結局しわをなくす為にどうしてもその周辺だけハイピッチにしてしまいます。極端に締め付けがばらばらだとシェルやフープに負担がかかるので困りもんですね。

・スナッピー
スナッピーはかなり張り目にしています。粒立ちアップを狙うと共に、低音の倍音を少なくしています。スナッピーを張り目にすると当然裏のヘッドがミュートされるわけですが、その時に倍音もカットされます。Gretschならではのパリッとした感じが欲しかったのであえて張り目にすることによってミュートを狙っています。
また、スナッピーはオリジナルの物を使っています。canopusのメッキなしスナッピーとも比較したのですが、オリジナルの方が相性がいいみたいです。低音と音の広がり、あとビンテージ独特の乾いた感じが出る気がします。古いスナッピーだとそれだけで古臭い音が出るもんですな。

・音量
音量はそこそこありますが、決して爆音じゃあないです。ただ、ゴーストノートなど小さいタッチにも反応して、くっきりと音が出ます。そういった意味ではやはりジャズ向けなのかも知れませんが、十分ロックにも対応できると思います。

・サウンド
肝心のサウンドですが、イメージしていたGretschの音とは少し違うみたいです。60年代ラウンドバッチの音は、「コン」という感じだったんですが、我がスネアの方は、結構図太い音がします。低音が豊かで、乾いた感じというよりはふくよかなサウンドです。やはり70年代と60年代では音が違うみたいです。先述したように、スナッピーをきつめに張るとそれらしい音がする、…気がします。
また、オープンリムショットの音はかなり絶品です。「カーン」と抜ける音はまさしくGretsch、気持ちいいです。ただ、ものが古いものなので、力いっぱい叩くのは怖いです。オープンリムをかますとシェルが変形してるのが感じるし、そのままバリッといっちゃいそうで。

とまぁ、ざっとこんな感じです。
何だかんだで問題点だらけな気もしますが、それもご愛嬌です。
ビンテージならではの作りの荒さとかもあるわけですが、それが味なわけで。
確かに現行品とは全く違った音がするんでとても面白いです。このパサパサした音がたまらないのですよ。
一時はチューニングが決まれずに困ってましたが、これが自分にとって初めてのビンテージで、思い入れがあるスネアです。
これから使い続けてもっと味わい深い音になっていかないもんかなと思います。
みなさんがこれを読んでビンテージに興味を持ってくれたらこれ幸い。

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